点検口は必要 一級建築士の家

点検口の大切さ

点検口とは、天井や壁、床に設置する天井内や床下等を点検する為のものです。

住宅は、年月とともに劣化していきます。

蟻害、雨漏り、結露等々 定期的に点検を行うことで 大きな不具合にならなくてすむので点検はとても大切です。

しかし点検口がなければ、簡単に点検は出来ません。

壁を点検したければ壁を壊す必要がありますし、床下を点検したければ床を壊す必要があります。

これからマイホームの購入や計画をしている人は、きちんと建物を点検できるように点検口を設置するようにして下さい。

1階の床下のキッチン収納は、兼用する事も出来ますのでお勧めです。

あとは、各部屋の天井(押入れやクローゼット内)に設置してあると便利です。

点検口は、新築のときに設置するのであれば、たいして費用はかかりませんので設置を心がけて下さい。

ただし、業者によっては、あまり意味のない場所に設置したり、必要な場所になかったりしますので注意が必要です。

点検口があれば、あとから電気の配線工事やLAN工事を行う際にも便利ですよ。

無垢の床材は使用しない 一級建築士の家

自分の家を設計するなら、無垢の床材は使用しません

無垢の床材は、値段は高いですが、高級感があり、たしかに見た目もいいです。

肌触りもいいですし、木の香りもよく気持ちのいい空間になります。

それなら、なぜ無垢の床材を使わないのか。

まったく使わないわけではないですが、少なくとも自分の家には採用する事はないと思います。

それはなぜか?

無垢の床材にはメリットだけではなく、大きなデメリットもあるからです。

無垢の床材の一番のデメリット

無垢の床材は、どうしても年月とともに反ってくるのです。

それが味だと言われる施主もおられますが、自分の家を設計に採用するのは躊躇します。

床材を貼り換えるには、家具や荷物を移動させなければならないため、そう簡単には何度も貼替はしたくないのです。

貼替費もかかりますし、キズにも弱いです。

しかも、床暖房を使用する場合は、反りが早まります。

ここに上げたデメリットが全てではありませんが、メリットを上回るデメリットだと考えています。

無垢の床材を検討している方は、上記のデメリットも考慮して採用して下さい。

吹抜は作らない 一級建築士の家

吹き抜けのメリット

吹き抜けのメリットといえば、高い天井を確保できて、気持ちの良い空間を創れる事が一番のメリットであると思います。

また、吹き抜け部分に大きな窓を設ける事で、非常に明るい空間を演出する事も出来ます。

住宅の設計をしていて施主と打合せをすると、吹抜を作りたいと希望される事がよくあります。

たしかに吹抜は、開放感もありますしお洒落な雰囲気もあるので希望されるのもよくわかりますし、工事が完了した吹抜のある住宅はいい感じです。

しかし、自分の家を設計するなら、吹抜は作りません。

それはなぜか?

雰囲気だけなら吹抜は最高ですが、住むことになるとデメリットもあるんです。

吹き抜けのデメリット

1.掃除がやりにくい  吹き抜け部分の壁や照明器具の掃除をするのに手が届かないので大変

2.照明器具の電球が替えづらい

3.冷暖房が効きにくいので、電気代が高くつく

4.構造上、どうしても弱くなりやすい

などがあげられます。

特に、構造が弱くなりやすいのは、地震大国日本では避けたいところです。

きちんと構造計算を行えば、構造も弱くなりませんが、木造2階建てであれば、筋交い計算のみの場合が多いので、やはり不安は残ります。

上記の理由で、自分の家を設計するなら吹き抜けは作りません。

建築基準法上の道路とは

建築基準法上の道路って何?

一口に道路と言っても、様々な法律で道路の定義がありますが、今回は建築基準法上の道路について解説したいと思います。

建物を建てる場合、建築基準法を守る必要があり、建築基準法の中で、建築確認申請の事や、道路の定義がされています。

2m以上道路に接しなければ建物が建てられない

建築基準法では、建物を建てるためには、原則2m以上道路に接しなければならないとされています。

建物を建築する際に必要な確認申請の審査において、建築基準法上の道路に2m以上接しているかの確認がなされます。

紛らしいのですが、2m以上接しなければならない道路は、建築基準法上の道路なのです。建築基準法が定義する道路には、国道や府道、県道、市道、位置指定道路等と、大抵の道路が含まれるのですが、入り組んだ細い道路や行き止まりの道路等の中には、建築基準法上の道路ではない道路が存在します。

現地で道路を見ただけでは判断できない事が多いので、その場合は役所の建築指導課等に行って建築基準法上の道路か確認する必要があります。

一見道路に見えても「建築基準法上の道路じゃない道路」の可能性がありますので、土地を購入する際には気を付けなければならないポイントです。

結論

土地を購入する際には、建築基準法上の道路に2m以上接しているか確認する必要がある

土地を購入する際に気を付ける3つのポイント

土地を購入する際の注意点

以前の記事で、「中古住宅を購入する場合のチェックポイント」を紹介しましたが、今回は「土地を購入する場合に気を付けるポイント」を紹介したいと思います。

土地を購入する場合に気を付けたいポイントは色々ありますが、何点かに絞って紹介したいと思います。

境界明示

以前の「中古住宅を購入する場合のチェックポイント」でも紹介しましたが、やはり境界がハッキリしていることは重要です。

どこまでが自分の土地かわからなければ、建物の計画にも影響が出ますので、民民の隣地境界明示があるかの確認を不動産業者にして下さい。

土地を購入してから、隣地の所有者から「ここまでは自分の敷地だ」と言われる可能性もあるわけです。

実際に、土地の境界に関するトラブルはよくありますので気を付けて下さい。

用途地域

日本全国の土地は、都市計画区域等が定められており、都市計画区域の中で、市街化区域と市街化調整区域に分かれ、さらに市街化区域の中に用途地域が定められています。

用途地域は、第一種住居地域や商業地域、工業地域等、13種類の地域に分けられており、その地域によって建てられる建物の種類が定められています。

住宅であれば、工業専用地域以外の用途地域であれば建築出来ますが、工業地域に住宅を建てても周りは工場ばかりの可能性もあります。

今は廻りも全て更地でも、自分が家を建ててから、隣に工場が出来る可能性もあるわけですから、工業地域は、工場付住宅等の計画がない限り、住宅を建てるための敷地を購入する事はお勧めできません。

おすすめは、用途地域の中に、「住居」と入っている用途地域です。13種類の用途地域の内、8種類が住居と付いていますので、出来る限り「住居」と付く土地を購入して下さい。

前面道路の幅員

前面道路とは、敷地が接している道路の事ですが、まず道路幅員が狭ければ、駐車場への駐車が大変になります。

しかも経験上、狭い道路に限って、道路にまで植木鉢や自転車が道路に置いてあります。

すでにローカルルールが出来上がっている事も多く、後から建物を建てて引っ越す場合は、戸惑う事も多く、しかも、道路が狭ければ、住宅を建築する工事期間中に、近隣に迷惑をかけてしまう事が増えますので、狭い道路は避けたいです。

また、住居系の用途地域では、容積率は前面道路の幅員*0.4 の計算で算出された数値以下にしなければならない為、容積率200%の土地でも、前面道路が4mしかなければ、4*0.4=1.6で、160%までしか、建物を建築する事は出来ません。

以上の事から、5m以上、出来れば6m以上の前面道路がある土地の購入をおすすめします。

以上、3点の「中古住宅を購入する場合のチェックポイント」を紹介させていただきましたので、土地を購入する際に参考にして下さい。

自分の家を自分で設計する事は可能か

自分の家を自分で設計する事は出来るのか?

建物の設計をするためには、建築士の免許が必要です。

これは法律で決まっており、建築士の独占業務となっています。

建築士の免許には、大きく分けて、一級建築士と二級建築士があり、設計できる建物の規模が異なっています。

一級建築士であれば、どんなに大きな建物でも設計する事が出来ます。

建物の設計が建築士の独占業務ですから、建築士の免許がなければ、自分の家でも設計が出来ないと思われますが、実は、木造2階建て 延べ床面積が100㎡以下の住宅であれば設計する事が可能です。

建築士法第3条で定めています。

但し、業務として報酬を貰うことは出来ず、業務として行うには、建築士事務所に所属する建築士でなければ、業務として行うことは出来ません。

木造の100㎡以下の住宅になりますが、自分の家の設計をする事は可能ですので、一度チャレンジしてみるもの面白いかもしれません。

いざ設計を進めていくと、間取りはなんとかなると思います。

しかし、一番の難関は建築確認申請と思います。

建築確認申請とは、役所に図面や書類を提出して問題ないか確認してもらう申請です。

木造2階建てでも簡単な筋交い計算という構造検討が必要であったり、建築士であれば当然知っているとして免除されている規定も全てクリアした図面や書類を用意する必要があります。

結論

不可能ではありませんので、大きさに制限がありますが、一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

隣地境界線からの空き寸法

境界から空けないと駄目?

よく、「建物を建てる時は、隣の建物から50cm離さないといけないの?」と聞かれる件について

施主と住宅等の設計の打合せをしていて、隣地境界線から建物を50cm離して計画をしていると、敷地一杯まで建物を建ててほしいと言われます。

反対に、施工できる範囲ギリギリまで隣地に建物を寄せて計画していると、隣地境界線まで50cm離さなくてもいいの?とも聞かれます。

民法234条に、「建物を築造するには、境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。」と記載されています。

また、民法235条に「境界線から一メートル未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。」とも記載されています。

さらに、民法236条に、「前二条の規定と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。」

となっており、民法では、外壁から隣地境界線までは50cm以上離さなければならない、慣習がある場合はそれ以上必要と解釈されます。

一方、建物を建てるにおいて重要な建築基準法では、隣地境界線から外壁までの距離を制限する条文はありません。

実際に、境界線ギリギリに建築物を建てても違反ではありません。

違反でないからといって、隣地境界線ギリギリで建物を建てると、隣地所有者と揉める原因になりますので、きちんと挨拶をして、事前に建物の計画を伝えて了承を得る事が必要です。

特定行政庁によっては、隣地境界線から50cm以下で建物を建築する際に、何かあった場合は、対応致します等の誓約書の提出を求められることもあります。

また、建物を施工するにあたっては、隣地をお借りしなければならない場合も出てきます。

その時のことを考えても。事前の挨拶と計画の了承を得る事が大切だと思います。

結論

隣地境界線から建物は、50cm以上離すことが望ましいが、出来ない場合は、事前に隣地所有者と話し合い、承諾を得ることが必要

プレハブの物置に確認申請は必要?

確認申請って何?

確認申請というものをご存じでしょうか?

確認申請とは、建物を建てる時に、このような建物を建てますよと確認してもらう申請です。許可ではないのですが、法規を守っていないと建築できないので許可みたいなものです。

住宅やマンション、工場、倉庫等、建物を建てる時に確認申請が必要になるのですが、普通にホームセンターで売っているヨドコウやイナバの物置を建てる時にも、確認申請が必要とは一般の人は知らないと思います。

確認申請は、通常、建築士が図面や書類を作成して役所等に申請書を提出します。そのような申請を一般の人が行うことは、物置であれば不可能ではありませんが難しいです。

でも、自分の家の庭に物置を建てるのに確認申請を提出している人をご存じでしょうか。

おそらくいないと思います。

確認申請が必要なのに、誰も提出していない? なぜ?

確認申請が不要な場合も

実は、10㎡以内の物置は、建物に付属する増築で、防火指定がない場合、確認申請が不要なのです。

(防火指定 : 地域によって防火地域、準防火地域、防火指定なし、が定められています)

(確認申請が不要なだけで、基礎に建物を緊結する等の法規は守る必要があります)

ただ、住宅が多い地域は、防火指定なしが多いので、問題ないことが多いのですが、大阪市などの都会は、住宅地でも準防火地域に指定されている事が多いので、10㎡以内の物置でも違反建築物になってしまいます。

また、増築ではなく、物置を新築する場合は、防火指定に関係なく確認申請が必要になってきます。この事を知らない建築関係者も多くいたり、小さな物置で確認申請が必要等、実態にそぐわない状況が続いていました。

国土交通省からの技術的助言

そういった状況の中、平成27年に国土交通省から、小規模な倉庫の建築基準法上の取扱いについて という技術的助言が出ました。

内容としては、外部から荷物の出し入れを行うことができ、かつ、内部に人が立ち入らないものについては、建築確認申請は不要との判断がされています。 具体的な数値としては奥行きが1m以下、または高さが1.4m以下とされています。但し、自治体で数値を定めている事がありますので、各行政庁に確認は必要です。

上記の内容に適合すれば、防火指定されている地域でも、基本的には確認申請が不要となりますので、合法的に物置を設置出来るようになり、だいぶ建築できる条件が緩和されました。

2階建てを3階建てに

3階の増築は可能か?

施主から、

「今住んでいる2階建ての住宅を3階建てに出来ませんか?」

たまに聞かれます。

今までに2階建てを3階建てに改造した建物を見たことはありますし、見た目もキレイで、元々が2階建てとは思えない建物もあります。

たしかに、あんな建物を見たら一般の施主は2階建てを3階建てに出来ると思ってしまいます。

しかし、設計者の立場からすると、

「出来ない事はないが、合法では難しい」

と考えます。

少し考えればわかります。

例えば、鉄骨2階建ての建物は、2階建てで構造計算を行っていますので、3階を後から増築する事は計算していません。

3階建ての荷重に耐えられる柱や梁の計算をしていないのです。

木造の場合は、2階建てまでは大抵の場合は筋交い計算を行っており、本格的な構造計算は行っていません。

しかし3階建てになると、構造計算が必要になります。

当然、2階建てよりも耐力のある建物になります。

施工だけなら2階建てを3階建てにする事は可能ですが、構造耐力のない弱い建物になってしまうという事です。

将来、2階建てを3階建てにする予定があるなら、最初から3階部分を増築出来るように検討しておけば可能ですが一般的には行いません。

工務店によっては、全然問題ないと、構造が素人な社長や現場監督が進めてきたりしますが、当然に違反建築です。

しかも地震にも弱い。

2階建てを3階建てにする事は メリットよりもデメリットの方が多いと感じます。

中古住宅を購入する際の3つのチェックポイント

購入する一戸建て住宅の種類

一戸建てのマイホームを取得する方法として、大きく分けると

新築住宅を建てる

建売住宅を購入する

中古住宅を購入する

の3種類の方法があると思います。

どの方法でも、気を付ける事はたくさんありますが、今回は中古の一戸建て住宅を購入する際に最低限見ておいたほうがいいポイントを3点紹介します。

中古の一戸建て住宅を購入する際のチェックポイント

1.隣地との境界がハッキリしているか。

隣地との境界線がはっきりしている敷地がおすすめです。

境界がはっきりしていないと、購入してから揉める原因になります。

中古住宅を購入する訳ですから、隣地の人の方が古くから住まわれている可能性が高く、

「昔から境界線はここだ」 と言われてしまえば、証拠がなくては何も言えません。

そのために、境界明示を行い、境界プレートを設置するのです。

境界明示を行うには、隣接する土地の所有者が立ち会って、承諾の上、捺印しますので、後から揉めた場合でも証拠になります。

境界がハッキリしない場合は、仲介の不動産業者に確認する事が大事です。

2.建物の傾き

建物が傾いている場合、軟弱地盤の上に建物が建っている可能性が高いです。

通常、軟弱地盤の場合は、地盤改良等を行い、建物の荷重が耐えれるように設計を行うのですが、残念ながらそこまで検討をしない業者が存在することも事実です。

また、古い建物の場合、地盤の調査さえ行っていない可能性が高いです。

軟弱地盤の上に建物が建っていると、地震の時に倒壊するリスクも高まりますので、傾いている建物はおすすめ出来ません。

では、どうやって建物の傾きを測るか、プロであれば計測の機械を持っていますが、高価です。

簡単な方法としては、ビー玉やパチンコ玉を用意して、色々な部屋の場所で置いてみてください。傾いていなければ転がりません。

転がった場合、転がった方向を覚えて下さい。違う部屋で同じ方向に転がる場合は、建物が傾いている可能性が高いので、その物件は購入しないで下さい。

一つの部屋だけがビー玉が転がる場合は、おそらく施工不良か、その部屋の床の下地不良が考えられます。

その場合は、直す費用は掛かりますが、建物が傾いているのではないと考えられます。

3.天井のシミ

必ずチェックしてほしいのは、天井のシミです。

天井にシミが有る場合、それは、雨漏りが乾いた跡です。

雨漏りは、専門家が調査しても、原因を特定する事が難しいので、見つけた場合は、仲介の不動産業者や前の持ち主に、雨漏りや修理歴についてお尋ね下さい。

修理をしていて完全に雨漏りが直っていればいいのですが、直っていないのであれば、購入しない事をお勧めします。

以上、中古住宅を購入する場合のチェックポイントを3点紹介しました。

まだまだチェックしなければならない事はありますが、中古住宅を購入する際の参考にして下さい。